コラム

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遺言書の調査と発見後の手続き

相続が発生した際、遺言書の有無を確認するには、被相続人の自宅等の捜索に加え、公証役場の「遺言検索システム」や法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して照会を行うことが重要です。遺言書が発見された場合、公正証書遺言や法務局に保管されたものを除き、遅滞なく家庭裁判所へ提出して「検認」の手続を経る必要があります。また、封印のある遺言書は家庭裁判所外で開封してはならず、これら検認・開封の規定に違反した場合には過料の制裁が科される可能性があります。検認は遺言書の現状を確定し偽造・変造を防ぐための証拠保全手続であり、遺言の有効・無効を判断するものではありません。

 

遺言書の有無の確認方法

相続手続を円滑に進めるため、早い段階で遺言書の有無を確認する必要があります。

  • 自宅等の捜索
    自筆証書遺言は、被相続人に預けられている場合もありますが、仏壇、神棚、机の引出し、金庫、あるいは知り合いや専門家に預けられている可能性があるため、被相続人の遺品等を調査します。
  • 公証役場での検索
    公正証書遺言の有無は、全国の公証役場で「遺言検索システム」を利用して確認できます。平成元年(1989年)以降に作成されたものであれば、全国どの公証役場でも検索・照会が可能です。昭和以前に作成されたものは、作成したと思われる公証役場に直接照会する必要があります。
  • 法務局での確認
    2020710日に開始された「自筆証書遺言書保管制度」を利用している場合、法務局に対して「遺言書保管事実証明書」の交付を請求することで、遺言書の有無を確認できます。

 

遺言書発見後の手続(検認と開封)

遺言書が発見された場合、遺言の変造や隠匿を防ぎ、最終意思を保持するために以下の手続が求められます。

  • 検認の請求
    遺言書の保管者または発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければなりません(民法10041項)。検認とは、遺言書の内容を明確にして偽造・変造を防ぐ一種の検証・証拠保全手続であり、遺言の有効性を確定させるものではありません。
  • 封印のある遺言書の開封
    封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いのもとでなければ開封することができません(民法10043項)。
  • 検認が不要なケース
    公正証書遺言、および法務局(遺言書保管所)に保管されている自筆証書遺言については、偽造・変造の恐れが低いため、家庭裁判所での検認は不要です。

 

義務違反に対する制裁と遺言の効力

遺言書に関する義務を怠った場合、以下の影響が生じます。

  • 過料の制裁
    遺言書の提出を怠ったり、検認を経ずに遺言を執行したり、家庭裁判所外で開封した者は、5万円以下の過料に処せられます(民法1005条)。
  • 遺言の効力への影響
    検認・開封の手続に違反しても、遺言自体が無効になることはありません。家庭裁判所外で開封された遺言書であっても、その効力は失われません。
  • 相続欠格(隠匿)
    相続法上有利・不利となることを妨げる意思で故意に遺言書の発見を妨げる行為は「隠匿」とみなされ、相続欠格事由に該当する可能性があります。ただし、単に検認を遅滞させただけで不当な利益を得る目的がない場合は隠匿に当たらないとした判例もあります。

 

遺言執行と通知

遺言書がある場合、原則としてその内容に従って相続手続が進められます。

  • 遺言執行者の任務
    遺言執行者がいる場合、その者は任務開始後、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知しなければなりません(民法10072項)。また、相続財産目録を作成して交付する義務を負います。
  • 優先順位
    遺言は法定相続分よりも優先されます。複数の遺言書がある場合、前の遺言と後の遺言で抵触する部分については、後の遺言によって前の遺言が撤回されたものとみなされます。

 

結論

相続が発生した際は、まず自宅の捜索、公証役場での検索、法務局への照会により遺言書の有無を確定させてください。自筆証書遺言(法務局保管分を除く)が見つかった場合は、決して勝手に開封せず、速やかに管轄の家庭裁判所へ検認を申し立てる必要があります。公正証書遺言や法務局保管の遺言であれば、検認を経ずに直ちに執行手続に移ることが可能です。

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